専門的議論

<大野病院医療事件>判決に被告は安堵 遺族は目を閉じ…(毎日新聞) - Yahoo!ニュース 魚拓
「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り(読売新聞) - Yahoo!ニュース 魚拓
結局、公判で議論されていた内容を、マスコミさんはまるで理解できなくて、分かる部分は情緒的なところしかないからそういう記事を書く。そして、専門的な部分は、専門家のコメントを丸々載せることしか出来ない、というのが分かりやすく表れてる記事。

公判は医療を巡る専門的な議論が中心で、遺族が置き去りにされたような思いがある。

ええと、医療に過失があったかどうかを争う裁判で、「真実」を知るためにやってるのですから、専門的な議論が中心で何が悪いのでしょうか? こういう記事を書くことで、かえってご遺族を貶めているということにマスコミは気付かないのだろうか。この事件に関しては特に、ネット世論の盛り上がりで、ご遺族がというよりはむしろマスコミが置き去りにされてしまったことを、このようにしか表現できないのだとしたら悲しい人たちだな。

証人の資質

asahi.com(朝日新聞社):福島県立大野病院事件の福島地裁判決理由要旨1 - 社会 魚拓
asahi.com(朝日新聞社):福島県立大野病院事件の福島地裁判決理由要旨2 - 社会 魚拓
判決要旨。そのうち全文が出てくるとは思うけど。証人の証言内容が全てですね。

 証言した医師のうち、C医師のみが検察官の主張と同趣旨の見解を述べている。だが、同医師は腫瘍(しゅよう)が専門で癒着胎盤の治療経験に乏しいこと、鑑定や証言は自分の直接の臨床経験に基づくものではなく、主として医学書などの文献に頼ったものであることからすれば、鑑定結果と証言内容を癒着胎盤に関する標準的な医療措置と理解することは相当でない。

 他方、D医師、E医師の産科の臨床経験の豊富さ、専門知識の確かさは、その経歴のみならず、証言内容からもくみとることができ、少なくとも癒着胎盤に関する標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際をそのまま表現していると認められる。

 そうすると、本件ではD、E両医師の証言などから「剥離を開始した後は、出血をしていても胎盤剥離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血操作を行い、それでもコントロールできない大量出血をする場合には子宮を摘出する」ということが、臨床上の標準的な医療措置と理解するのが相当だ。

・・・何かイタイ話だ。実は、この事件に関しては我々のところにも福島県警から医学的事項の照会が来ていたのだが、医療側に責任なしみたいな回答をしたらその後何も言ってこなくなったという経緯がある。今から思えば、起訴に有利な鑑定を求めていたのだな。で、C医師はその網にかかってしまったと。書きようによっては自分もC医師の立場にあったかと思うと、怖いものがある。やっぱりこういうのは業界の大物に任せるに限るな。そして専門外のことには手を出さないこと。
<追記>こちら魚拓)では実名で晒されてます・・・
<追記2>いいわけエントリhttp://d.hatena.ne.jp/shy1221/20080826/p1立てました。

司法判断

今日判決の日を迎える。様々な医師ブログがあるが、みんながみんな「無罪を信じてます」「無罪以外にありえません」みたいなコメント。確かにそうなんだけど、これは、医師以外の人がみたら、とっても気持ち悪い集団だろうな、と思わないでもない。どういうふうなアピールの仕方が一番効果的か、そういうことも考えさせられる今回の事件であった。
「この事件が有罪になれば、日本の医療は崩壊する」というフレーズをよく聞くんだけど、これは、医療側からすれば警告なんだけど、一般の人が見ると脅しに見えるらしい。ただ、昨日も書いたけど、「別に有罪でも無罪でもやっぱり日本の医療は崩壊する」と思うので、もう「有罪→崩壊」というフレーズは使わない方がいいんではないかというのが私の意見。そういう意味では、日本の医療のためには有罪か無罪かはどちらでもいいと思う。K先生ご本人のために無罪を祈ろう。
さて、この状況で、有罪が出る可能性もあるのだから、その時に何をするべきか、考えてみる。医学的には何の非の打ち所もない処置で逮捕・起訴されているわけだが、それは医師側が言っていることで、他の方々(法曹も含め)には何のことだか分からない話なんだろう。で、一生懸命公判で説明したわけだが、分かってもらえない可能性もあるわけで、その結果有罪になることはあり得る。その場合は、法を預かる人たちが、そういう医療をやってはいかん、ということなんだから、防衛医療に徹する、という結論でいいんではないかと思う。アメリカが「保険」医療に徹しているように。
今回の事件はいろいろ教訓を残してくれたと思う。県が作った報告書が発端で事件となったようで、ただ警察も途中でこの報告書が示談金を得るために書かれたものだと気付いたのか、公判では証拠として採用されてない。でも立件・公判維持に有利な供述を得るために被告を逮捕・拘束したんではないか、と被告弁護人も発言している。ゆえに、患者さんの救済目的であろうがなかろうが、中途半端な報告書は作らないこと、もし、過失が無いと思われるのなら、過失を認めるような報告書を作らせないこと、ということが大事になるであろう。で、今回、K先生は、警察で事情を聞くと言われて連れていかれて、行った先の警察で逮捕されてしまったわけなので、警察に呼ばれる時には必ず弁護士を連れて行く、というのも教訓かと。
当事者の先生方にはとりあえずお疲れさまでした、と言いたい。司法がこれからの医療をどうしようと思っているかが分かる、という点で今日の判決が楽しみではある。

新しいディスクなど

小澤征爾ファンを自認しているのに、この夏は新盤のチェックを忘れていました。

ベルリオーズ:幻想交響曲 ほか 小澤征爾指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:小澤征爾 演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ<特典映像> リハーサル風景
○2007年10月8日 NHKBS2で放送された「サイトウ・キネン・フェスティバル2007」よりDVD化


ベルリオーズ:幻想交響曲
指揮:小澤征爾 演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ *こっちはCD

特典映像があるがゆえにDVDを買わねばならないのか、とかいってもう注文済み。

NHKクラシカル 小澤征爾 ベルリン・フィル 「悲愴」 2008年ベルリン公演 (Blu-ray Disc)
内容紹介
2008年1月、ヘルベルト・フォン・カラヤン生誕100年を記念して、ベルリン・フィルの本拠地フィルハーモニーホールで行われたコンサートから、世界のマエストロ、小澤征爾指揮のチャイコフスキー作曲「交響曲第6番悲愴」を収録。ハイビジョン映像の高画質と5.0chサラウンド・リニアPCM (96Khz/24bit)の高音質により、小澤征爾ベルリン・フィルの熱演を、圧倒的な臨場感で再現する!!
指揮:小澤征爾 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団<特典映像> リハーサル風景
○2008年3月20日 NHKBS-hiで放送された「夢の音楽堂 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 世界最高のオーケストラ」よりブルーレイディスク化(日本市場向け)
チャイコフスキー/交響曲 第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」

普通のDVDで見るよりハイビジョンを録画した方がキレイだもんね、という世間の流れを読んだかのように、ブルーレイでの発売。っていうかブルーレイでしか出てないのか。プレイヤーないけど買うか。

カラヤン・メモリアル・コンサート2008
内容(「Oricon」データベースより)
20世紀を代表する偉大な指揮者で、「帝王」と呼ばれたヘルベルト・フォン・カラヤンの生誕100年を記念した、ベルリン・フィル・ハーモニー管弦楽団の演奏会の模様を収録。指揮は日本を代表する小澤征爾が務める。

このコンサートのこと自体をよく知らないのですが。勉強不足だな。10月発売とのこと。多分買う。