ハコモノ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060225-00000253-mailo-l12
千葉の事情はあんまり知らないが、残された常勤医の判断は至極アタリマエのものであろうし、これからこういう事例は日本中で頻発するだろう。
でも、改装して最新機器を入れれば、医師が集まるかという発想はどうだろう。ハコモノ行政の産物かな。例えば、巷で話題のF島県に、最新機器を揃えたスゴイ病院が立っても、それが県立病院だったら絶対行きたくないけど。最新機器を備えて、かつとってもデキル先生がいて初めて、そこで学ぼうって気にもなるもんで。まだ日本には、人材を育てるという発想が無いんだな。

国保成東病院:内科救急論番外れる 常勤医全員辞め、入院患者受け入れ困難 /千葉
 内科の常勤医がいなくなる可能性が浮上していた成東町の組合立国保成東病院(坂本昭雄院長・350床)=写真=は3月1日から、山武地域の内科救急輪番体制から外れると発表した3月末で常勤医9人が全員いなくなることが決定し、入院患者の受け入れをやめるためという。山武郡市7市町村が運営する同病院は、地域の救急輪番の約半分を担っている。県によると、他の医療機関で補完できなければ、県内で唯一、毎日の内科救急輪番体制を保てなくなる地域になるという。
 内科救急輪番の病院は午後5時から翌朝8時半まで、地域の救急患者を受け入れる。成東病院の場合、04年度は4031人を診察した。常勤医はローテーションを組み、1人当たり月3、4回を担当している。
 坂本院長によると、昨年12月、2人の常勤医が「開業するため3月で辞職したい」と伝えてきた。これを契機に、残された常勤医らに負担増への不安が広がり、「非常勤になる」との申し出が相次いだ。坂本院長は「昨年12月以降、都内にも医師確保に走ったが駄目だった」という。
 非常勤医だけでは入院患者の受け入れも困難なため、輪番体制から外れることを決定。約100人の内科の入院患者のうち、3月末までに回復する見込みのない患者には極力、他の医療機関に転院してもらうよう依頼する方針という。
 県は山武地域にこだわらず、印旛地域の医療機関とも連携して、出来るだけ早く救急輪番を復活させたいとしている。【寺田剛】
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 ■解説
 ◇限られた「資源」、センターに−−地域医療育てる発想を
 成東病院の内科常勤医不在問題は、同病院が救急輪番体制から外れる事態にまで発展した。近隣の医療機関でも常勤医は減る傾向にあり、地域医療の低下は深刻さを増している。11年度完成が計画されている山武地域医療センターの必要性も増したといえそうだ。
 常勤医を辞める医師たちについて、坂本院長は「精神的に苦しい救急診療から逃れたいの一心。医師の補充支援がない現状に、燃え尽きてしまった」と代弁する。医師不足の背景には、自由に研修先を選べる新臨床研修医制度の導入で、研修医が都市部の大病院に集中していることがある。地域への派遣元である千葉大などでも医師が足りないのが現状だ。
 一方、坂本院長によると「都心から遠い県南部でも、全面改装して医師不足と縁がない病院もある」という。最新鋭の機器が整えば、高い医療技術が学べると考える医師が集まるからだ。坂本院長も「センターが出来れば、医師不足も解消できる」と期待する。
 18日に開かれた住民を交えたシンポジウムでは、センター建設に伴い、成東病院など中核3病院の機能が縮小されることへの非難が集中し、計画撤回を求める声もあった。確かに身近な病院の機能維持は必要だし、新研修医制度など構造的な問題はある。だが、医師が減っていくのを見過ごすだけでなく、地元負担が多少増えても、限られた医療資源をセンターに集中し、地域医療を育てる発想も必要ではないだろうか。【寺田剛】(毎日新聞) - 2月25日17時1分更新