荒波を生き抜くために

人を救うために医師になったような記憶があるんですが、普通に医療をやっていると、避けられない不利益な結果が出たら日本では逮捕されてしまうことになりました。
というわけで、今後、医師の皆さんがどうやってこの荒波を生きていけばいいかというと、某所からの引用ですが、

  1. リスクのある患者は診ない
  2. リスクのある手技はしない
  3. 救急は診ない
  4. 公立病院には勤めない。

ということになりそうです。これは医師の側からはすごく納得出来る内容なのですが、国民の皆さんがこれでいいかというのは、別問題です。ただ、医師も犯罪者になりたくは無いので、今後は、こういう傾向は強まるかも知れません。
で、「救急は診ない」ということで言うと、産科診療はほとんどが「予定された救急医療」なので、この4原則を守ろうとすると、産科撤退ということになります。おお、今の世間の流れと一致するではないか。そろそろ、この簡単な流れを、国民の皆さんにも気付いて欲しいです。ところが、例えば、私がよく見ているサイトある産婦人科医のひとりごとのコメント欄などで繰り広げられている一般の方と医師との言い争いを見ていると、深い溝、越えられない壁を感じますね。医療過誤の被害者の方とか出てこられてしまうと、もうそりゃ何も言えませんがな。でも、あなたの場合は医療ミスかも知れないけど、すべての医療事故が医療ミスとは限らないということも、あまり理解されてないのが日本の現状。報道でも区別されてないしね。テレビ、新聞で、「またも医療ミスです」とやるたびに、医師が現場を離れる=医師が減るカウントが回っているような気がします。
罪を犯した医師は十分に罰せられるべきと思いますが、罪のない医師*1を保護する条例等が制定されるまで、医療者はまず逃げ続けることが重要なんだなと思わざるを得ない今日この頃です。

*1:ま、そもそも医療事故が起こった段階で、一般の方々は医療事故イコール医療ミスイコール悪徳医師という図式で見る人が多いので、「罪のない医師」というカテゴリは存在し得ないのかも知れません。