異論も噴出

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060318-00000011-khk-toh
どんどん議論したらいいんだよ。そうしている間に、着実に産科医は減り、お産のできる病院は激減するだけなので。
「地元の声」の部分は、煽りとも思えるくらいの記事の書き方だよな。「万全の準備」をするにはコストがかかること、それを、地元が負う、という覚悟がなければ、そういう発言をしてはいけない。でも、発言者はそれを知らない。こういうことは啓蒙していかなきゃいかんよなぁ。痛みを負わずに、何でもクレクレ、というワケにはいかない社会になっていきそうだ。これも時代の流れか。

医療界反発 異論も噴出 福島県立大野病院の医師逮捕、起訴
 福島県大熊町の県立大野病院の産婦人科医加藤克彦被告(38)が、帝王切開手術で同県楢葉町の女性=当時(29)=を死亡させたとして、業務上過失致死と医師法違反の罪で逮捕、起訴された事件が波紋を広げている。日本産科婦人科学会などが「難度の高い手術で刑事責任を問われたらメスは持てない」などと反発、支援の募金や署名も始まった。一方で専門家や市民から、医療界の主張を疑問視する声も上がっている。
 「女性は重度の癒着胎盤という数千例に一例の難しい症例。絶対助けられたと言えるのは一握りの医師だけだろう」
 日本産科婦人科学会常務理事の岡井崇・昭和大教授は、同学会などが16日、東京都内で開いた会見でこう強調した。
 各地の関係団体も「逮捕の理由は不透明」(宮城県保険医協会)などと声明を発表している。
 加藤被告は胎盤を無理にはがし失血死させた業務上過失致死罪と、異状死を24時間以内に警察に届けなかった医師法違反の罪に問われた。
 福島地検は「血管が集中する胎盤をはがせば失血死することは予見できた」と立証に自信を示す。逮捕については「遺体を検分できず、関係者の口裏合わせを防ぐ必要があった」と説明した。
 異例の展開を専門家も注視する。弁護士で医療過誤訴訟に詳しい南山大の加藤良夫教授(医事法)は「医療界は長年、『くさいものにふた』と医療事故を隠し、被害者救済、再発防止に消極的だった。そこで最近、警察が動きだしたという歴史的経過がある。警察の過度の介入は避けるためにも、医療界は自浄作用を発揮しないといけない」と指摘。
 届け出義務がある「異状死」の解釈論争については「医療の安全を高めるためにも、遺族らも納得できる事故調査・被害救済の第三者機関をつくることが大切。患者の視点を抜きに、異状死の線引きを議論してもあまり生産性はない」と話す。
 加藤被告は同病院産婦人科に1人で勤務、年間約200件の出産をほぼ1人で担当していた。学会は「過重な負担に耐えてきた医師個人の責任を追及するのはそぐわない部分がある」と主張する。
 一方、地元の福島県双葉郡では、学会などの抗議に「身勝手だ」と憤る住民もいる。
 ある保育所の女性保育士(51)は「人の命を預かる仕事だから万全の準備をするのは当然」と怒りをあらわにする。別の保育士も「実情を知る医療界が、1人体制の厳しさや危険性を今になって言い出すのはおかしい」と疑問を投げ掛けた。
帝王切開死亡事件] 2004年12月17日、大野病院で加藤被告が帝王切開した女性が、大量出血により失血死した。福島県警は県事故調査委員会が05年3月、(1)癒着胎盤の無理なはく離(2)医師の不足(3)輸血の遅れ―が原因とする調査結果を公表した後、捜査に着手。今年2月18日に同被告を逮捕、福島地検が3月10日起訴した。(河北新報) - 3月18日7時4分更新