制度の問題だけではない。

Yahoo!ニュース - 河北新報 - 無資格助産起訴猶予 東北の医療現場「人材不足解消を」
この件についてはツッコミたい所は山ほどあるが、「院長が引退したから許してやる」みたいな発言も地検からあって、結局は検察がまたベテランの産科医を一人つぶしたというオチである。で、今回の私のツッコミは、助産師会の発言。

 「子宮口の大きさを測ることだけが内診ではない。専門的な教育を受けていない看護師が異常を発見する確率は低い」

神奈川県の助産師会の方も似たようなことをおっしゃっていたけど。しかし、私はこう思う。

「専門的な経験を積んでない助産師が異常を発見する確率は低い」

医師も、助産師も、免許だけなら紙切れだ。経験を積んでなければ全く意味が無い。ハッキリ言って、経験豊富な看護師の方がよほど使えるぞ。だから、内診の資格は、専門医みたいに経験によるものに変えてしまえばいいのに、と思う。開業権だけは助産師の免許が必要なことにしてね。んなこと言ったら助産師会とかに怒られちゃうんだろうな。「じゃあ医師免許もなくして経験制にしろよ」みたいなことになって。そこらへんは医師も含めて既得権が絡むから難しいよな。
もう一つ言えば、助産師が異常を見落とそうが、看護師が異常を見落とそうが、病院でお産をする限りは責任を取るのは医師だ。助産師がそんなに優秀で異常を発見してくれるんだったら、見落とし時の責任は全面的にとって頂けますか? そうでなければ、最終的に責任を取る医師の裁量権に任せてくれ、と思わんでもない。
私自身は、経験豊富な優秀な人材であれば、看護師、助産師の別は全く問わない。助産師にも優秀な方はいるし、ダメな人もいる。看護師も同様。すべては、その職についてからの教育によるのであろう。免許制度の問題にしてしまうのは、解決には結びつかないが、日本人は免許とか資格が大好きなので、そうなってしまうのだろう。私も資格マニアだから人のことは言えないが。
ハコモノを作ったり、制度を作るのも大事だろうが、人を育てるという観点で物事を動かしてはくれまいか。既得権があるから難しいかな...orz
まあ最終的には、国民の望む方向へ向かっていって、医療側が対応しきれなくなった時点で崩壊、というストーリーなんだろうけど。ストーリー、というより、もう崩壊が始まっているわけだが。
以下は記事。

無資格助産起訴猶予 東北の医療現場「人材不足解消を」

2月2日7時2分配信 河北新報

 前院長らが起訴猶予となった堀病院(横浜市)の無資格助産事件で、危機的な状況に陥っている東北の産科医療現場からは、横浜地検の判断に安堵(あんど)する声が上がった。一方で、お産にかかわる人材が不足する構造的な課題の解決を求める意見も出ている。

 「いきなり警察が入り込む問題ではなかった」とみるのは、日本産婦人科医会東北ブロックの中川公夫会長。産婦人科医会は、陣痛から子宮口全開までの「分娩(ぶんべん)第1期」に限り、看護師による内診を認めるよう主張し、厚生労働省と検討を重ねていた。

 中川会長は「起訴猶予とはいえ、看護師の内診がどこまで認められるかはクリアになっていない。医療現場の疑問、不安はまだ解消されていない」と慎重な見方を示す。

 厚労省によると、国内の出産場所は47%が診療所(19床以下)だが、診療所で働く助産師は全体の16%。2006年度、東北では111人の新卒助産師が病院に就職したが、診療所は2人だけだった。

 仙台市の開業産科医は「東北のほとんどの開業医で助産師が不足している。看護師が内診をしないと医師は激務で破たんする」と現場の苦境を説明。岩手県の公立病院産婦人科長は「看護師の内診を認めないなら、医師の数をまず増やせと言いたい」と国の対応を批判する。

 一方、日本助産師会の溝江好恵青森県支部長は「司法が看護師の内診にお墨付きを与えたわけではない」と地検判断の“拡大解釈”を戒める。

 「産む側には、看護師の内診を認める不利益が大きい。子宮口の大きさを測ることだけが内診ではない。専門的な教育を受けていない看護師が異常を発見する確率は低い」と問題点を挙げ、「厚労省助産師を増やし、偏在をなくすよう努めてほしい」と注文する。

 今回の事件は妊産婦にとっても影響は大きく、昨年出産した宮城県北の女性(34)は「できればお産のプロである助産師に診てもらいたい。でも状況を考えると、看護師が内診するのも仕方ないと思う」と話した。