もらえるものはもらいますが何か?

坂田賞 本紙6年連続受賞(産経新聞) - goo ニュース
誰も宣伝してなかったから知らなかったよ。えぶりでぃ新聞が、「関西を拠点にした優れた報道活動」ですって。それもネタは大淀事件。もらう方が恥ずかしいですけどね。詳細は、「大淀病院産婦死亡事例」報道などにより毎日新聞大阪本社医療問題取材班が毎日元社長を記念した財団法人から第14回坂田記念ジャーナリズム賞受賞@3/15: 天漢日乗に詳しいです。
<追記>そして、何食わぬ顔で後追い記事。それも知事選の争点がらみだから仕方なく、みたいな感じ。読んだら腹立ちますよ。誰が壊したんや、って。
記事は産經新聞

坂田賞 本紙6年連続受賞
2007年3月16日(金)03:32
 関西を拠点にした優れた報道活動に贈られる第14回坂田記念ジャーナリズム賞の受賞作品が15日発表され、第1部門(スクープ・企画)新聞の部に産経新聞大阪本社取材班の連載企画「死を考える」(代表、皆川豪志・社会部記者)と、毎日新聞大阪本社取材班の「奈良・妊婦死亡をはじめとする医療体制の不備を問うスクープとキャンペーン」(代表、井上朗・奈良支局長)が選ばれた。本紙の受賞は6年連続。

以下は「後追い記事」

未来を託す:秒読みの’07知事選/4 周産期医療 /奈良
3月20日16時1分配信 毎日新聞
 ◇環境整備、待った無し−−勤務医の自己犠牲の上に成立
 昨年11月の昼下がり。県北部の産婦人科医院に、強い腹痛を訴え、顔面そう白の妊婦が来院した。産科医が最も恐れる症状の一つ、胎盤早期はく離だった。原因不明で、出産前に胎盤がはがれ、胎児への酸素が止まる。胎児は既に死亡。胎内の出血が妊婦の命も脅かしていた。
 男性担当医は、橿原市の県立医大病院に転送を頼んだ。しかし満床で、同病院が代わりに探した天理よろづ相談所病院が引き受ける。緊急手術。母体は無事だった。「あと1時間遅ければ母親も危なかった。あまり受け入れ例のない民間病院が、県内で収容してくれたのが救いだった」と担当医は振り返る。だが、同年8月の大淀町大淀病院の妊婦死亡問題がなければ、救えなかった命かもしれない。
  ×  ×
 大淀病院の問題以前、県は財政難などを理由に、母子の命にかかわる環境整備を先送りしてきた。全国で8県だけが未整備の総合周産期母子医療センターは具体的計画さえなく、県内40床の新生児集中治療室(NICU)数は、県の周産期医療対策ワーキンググループに「全国ワースト1」と指摘されていたほどだ。
 貧弱な体制から、県内での重症妊婦の搬送先は県立医大、県立奈良(奈良市)の2病院にほぼ限られていた。4割近くは、遠距離をおして県外へ搬送。県医師会産婦人科医会が、わずかでも可能性がある天理よろづと近大付属奈良(生駒市)の民間有力2病院に受け入れ要請すると申し合わせたのは、問題発生の翌9月。県も10月30日、両病院に協力強化を依頼したばかりだった。
 「大淀問題」以降、県は県立医大病院にNICU30床を増床し、総合周産期母子医療センターとして08年1月に開設すると表明した。大阪府に対し、府内43病院の空床状況をオンラインで確認できる「産婦人科診療相互援助システム」への接続も求めた。民間病院の協力も含め一定の動きがあった。
 だが経過は順調とは言い難い。センター化に伴うNICU増床は、工事中に現在のNICUを移す場所が確保できず、県は10床増へ計画を縮小した。大阪とのシステム接続も、府側は毎日新聞の取材に「加盟病院以外は府内の病院でも見られない。奈良県の接続は困難」と答えている。
  ×  ×
 「この1年、何回家に帰れただろうか」。天理市立病院では、唯一の常勤医、飯岡秀晃・産婦人科医長(50)が基本的に週7日当直をこなす。3人いた常勤医のうち、1人が05年末に退職。勤務が過酷になり、もう1人も06年3月に去った。現在は週2日、60代の非常勤医の応援があるが、当直はほとんど頼まない。約10年前、別の年配の非常勤医が、当直明けに倒れたことが、脳裏を離れないからだ。
 県内の産科医は96年の102人から04年は94人に減った。06年の県立五條病院、済生会御所病院に続き、今年4月には大淀病院も産科を休診し、県南部(五條市、吉野郡)で分べん施設がなくなる。不規則な勤務や高い訴訟リスクを背景に、代わりが見つからない。
 思うように進まない環境整備、そして産科医不足。飯岡医長が多くの産科医の言葉を代弁する。「現場は私たち勤務医らの自己犠牲の上に、どうにか成立しているんです」(つづく)
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 ◇大淀病院の妊婦死亡問題
 昨年8月8日、五條市の高崎実香さん(32)が大淀病院で分べん中に意識不明に陥った。県立医大病院、県立奈良病院の他、大阪府内の17病院でも受け入れが不能とされた。約6時間後、国立循環器病センター(大阪府吹田市)に収容され男児を出産したが、高崎さんは8日後に亡くなった。県内のNICUなど専門病床の不足や搬送システムの不備、さらには大阪府でも重症妊婦の受け入れが難しい現実を浮き彫りにした。