ネットの功罪

奈良・妊婦死亡:ネット書き込みの開業医を立件見送り - 毎日jp(毎日新聞) 魚拓
デリケートな問題なので表現に注意しなければいけないのがツライところ。
略式命令を受けた医師や、今回謝罪した医師らにとっては災難であったが、今回、早期に情報、それも事実だと警察も認めてしまった情報が流出したことは、マスコミの情報のみを鵜呑みにして医療界からも当事者へバッシングが起きるのを防いだ、という点では意味のあるものであったと思う。流出されたカルテを見る限り、当事者となった医師たちは与えられた状況下で出来る限りのことはしているし、それを適切にカルテに記載している。自分が当事者であったらと考えると、適切な医療行為を行うこと、適切にカルテに記載すること、どれかが欠けていた可能性は否めない。そう考えると、今回当事者となった医師たちは、民事、刑事的にはどうかは知らないが、医療者の目から見て、十分にその責を果たしたと言えるし、そういう医師たちを医療界がバッシングする結果にならなくて良かったと心から思う。科学者集団としての医療界は、彼らの支持者でありたいものだ。
しかし、

「納得いかない。現行法の解釈で無理なら、法改正すべきだ」と話している。

これは凄いな。法改正されたとして、過去に遡って罰せられるもんなの? もしそうだとしたら、法治国家としてどうかと思うし、そうじゃなかったら、この記事は、感情的に読者を煽っていると読めるし、このコメントをした人を間接的に貶めていると言えないでもない。まあ所詮タブロイド紙の記事なので、スルーするが吉ですね。

<追記>と思ったら大淀病院カルテ流出事件 - reservoirのブログ経由で別の社の記事を見る。
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080713/acd0807130021000-n1.htm 魚拓

「症例を紹介して医学的な検証をし、産科医を守りたかった」と話したが、入手経路は明らかにしなかったという。

キモチは分からんでもないし、実際、産科医の先生の名誉は医療界では守られたとは思う。入手経路は気になるところですが。

「素性を明かしたことは評価する。中傷は被害者を苦しめるだけでなく、医療界の信頼を下げるということも強く考えてほしい」と話した。

記事の書き方のせいか、上から目線のコメントになっており恐怖さえ感じます。コメントした方の本意ではないかも知れませんが。そして、「中傷」の定義が分かりません。一応、警察は事実と認定しているようですが事実でもダメですか。「虚報」を垂れ流すことは「中傷」に当たらないのか、考えてみたいところです。「医療界の信頼」なんて、もう地に落ちてるでしょうから今さらもうどうでもいいような気がしますが。

<追記2>明日が大淀の裁判の日だからこんな記事が出たんですかね。これはマスコミに釣られましたか。まだまだ修行が足りませんな。