男性産婦人科医という存在

私は、一応、男性で産婦人科医の専門医資格を持っている者です。最近の産婦人科を取り巻く情勢には胸が痛むところがありますが、とりあえず今は状況が許しているので好きなことをさせてもらってます。バイトに行くことも時々はあるので、完全にドロッポしてるわけではないところが、まだまだ詰めが甘いな、と思います。
世間の雰囲気ですが、産婦人科診療に関していえば、一時は「女医希望」とかいうのが根強かったですが、最近はあんまりうるさく主張する患者さんはみかけなくなってきたです。ま、潜在的にはそういう希望があるけど、産婦人科足りないみたいだからあんまりうるさく言わんとこう、ってな雰囲気なのかもですが。
で、男性産婦人科医ですが、学会の構成員分布を見れば、中堅〜高齢層は男性が多いのですが、若年層は圧倒的に女性が多い。だから、ある程度の年数が過ぎれば、世間の思惑通り女性産婦人科医だらけになるとは思います。ただ、女性産婦人科医に限らず、産婦人科医自体のサバイバル率が極めて低いので、人数が足りなくなった時にどうなるのかな、とは思いますが。
男性産婦人科医とはどんな存在なんでしょう? ネット上では、ただのスケベ男の集団、という風に揶揄されることもあります。どこかで見た女性の産婦人科医のブログでは、「男性で産婦人科医になるのは、御子息か奇特な人」という評価でした。「奇特」の意味が、「言行や心がけなどがすぐれていて、褒めるに値するさま。」であればいいけど、ニュアンス的に「変人・変態」だとしたら、親が産婦人科医ではない私などは同業者からもそう思われているということにショックだな。研究なんかしてる時点で、多少「変人」であることは否定しようがないですが。
他科の医師に比べて、男性産婦人科医は柔和な人が多い印象があります。ま、一部過激派もいるのは否定しませんよ。小学校、中学校と、男子のコミュニティでどうしても生きにくかった私には、医師を始める時には非常に居心地のよい科でした。他科、特に体育会系の香り漂うような科では、早々にドロッポしてたでしょう。まあ、軟弱と言ってしまえばそれまでですが。