ドラマ「ギネ」に込めた思い

ssd先生経由
(1)ドラマ「ギネ」に込めた思い : 小町People : インタビュー : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

婦人科医(解説・産科はオブストラクト何とかで、婦人科がギネコロジスト、なぜか産婦人科はギネなんです)を指すギネコロジストの俗称です。

「解説」ってのはこの大石氏ではなく新聞の人がつけてるんだろうが、「何とか」でいいのか? そんなものを世間に晒す神経が信じられない。信じたことはないですが。おまえが社会のオブストラクションなんじゃ! と言ってやりたい。

もともと医師の知り合いが多くて、産婦人科医がどんどん減っていて大変だ、という話は聞いていたのですが、約1年前に妊婦さんが病院をたらい回しにされて亡くなり、産婦人科の問題が表面化してきました。

医者って言わないだけマシだが、いわゆる「たらい回し」の使い方に、この脚本家の浅さが出てるな。新聞の人に編集されたのかも知れないけど。

タイトルは、原作の「ノーフォールト」は「過失がない」という意味ですが、ドラマとしてはイメージが合わない。

以前のエントリでも言ったように、「『あ、今、医療崩壊とか産婦人科医不足とか、旬のネタじゃん』と思ったテレビ局が、適当な原作を探して、名前とか設定とかを多少頂いて、あとはテレビ的に盛り上がる脚本にしてみた、っていうドラマ」というのが、何だか裏付けられたような気がしました。

 死に向かって生きているという矛盾に満ちた人間存在について、視聴者が漠然と考えていただければ素敵だな、と思っています。

脚本自体が漠然としてるから、視聴者は漠然としか考えられないんじゃないの。
続きも来ましたよ。
(2)産婦人科医療に思うこと : 小町People : インタビュー : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

病院には何度も行きましたし、書きながら何度も担当の先生と電話でお話ししました。

担当の先生、ご苦労さまです。っていうか、忙しいってわかってて仕事の邪魔してないよね。

先生たちの奮闘には、土下座したい気分になりました。

いや、あなたに土下座されても何の意味もないですが。

ただ、ドラマはドキュメンタリーやニュースと違いますがら、そういうテーマだけを前面に出しても意味はありません。ドラマの第一義は、人間を立体的に描いて、上質のエンターテインメントを創ることですから。

意味ないんだってさ。所詮はエンターテインメントなんですな。「続きは6日更新」とかなってるから、まだこのインタビューは続くらしい。

以下は全文。

産科医のドラマを描く
大石静さん(脚本家)
 テレビドラマ「ギネ 産婦人科の女たち」(日本テレビ系、毎週水曜午後10時から)は、少子化の中、新しい命の誕生を支える産婦人科の医療の厳しい現状をリアルに伝える。脚本を書いた大石静さんに、ドラマへの思いを聞いた。(聞き手・稲沢裕子)

答えの出ない命というもの

Q「ギネ」を見て、子供が無事に産まれるというのが、こんなに大変なのか、と改めて知らされました。

A今回、産婦人科の取材させてもらって、こんなにいろいろなことが起きるのか、と驚きました。無事に産まれて、元気に育つというのは、本当に奇跡なんですね。


Q産婦人科を舞台にしたドラマを作ろうと思ったのは?

Aもともと医師の知り合いが多くて、産婦人科医がどんどん減っていて大変だ、という話は聞いていたのですが、約1年前に妊婦さんが病院をたらい回しにされて亡くなり、産婦人科の問題が表面化してきました。以前から、生殖医療について関心を持っていて、いつかドラマにしたいと思っていたのです。
 原作「ノーフォールト」(著者・岡井崇昭和大学医学部産婦人科学教室主任教授)は出版された数年前に、偶然読んでいました。とてもスリリングな内容に、これはドラマになるなと思っていたら、たまたま、同じことを考えていたディレクターと話が合い、ドラマ化が実現しました。


Q原作は、過失の有無を問わずに医療事故を補償する「無過失補償制度」の必要性を訴えていて、今年1月から脳性まひを対象に制度がスタートしました。ただ、原作とは、タイトルも、ストーリーも違いますね。

A4〜7話(11月4、11、18、25日)あたりで、原作に基づいた医療訴訟を取り上げていますが、それ以外は私のオリジナルです。タイトルは、原作の「ノーフォールト」は「過失がない」という意味ですが、ドラマとしてはイメージが合わない。たまたま知り合いの医師から、「医者の間では、産婦人科医のことをギネって呼ぶんだ」と聞いて、「あっ、それで行こう」と。婦人科医(解説・産科はオブストラクト何とかで、婦人科がギネコロジスト、なぜか産婦人科はギネなんです)を指すギネコロジストの俗称です。



Q耳慣れない言葉で「えっ、ネギ?」とか聞き返して、インパクトがあります。でも、原作との違いでいえば、藤原紀香さん演じる主役のイメージが大きく違います。自分にも周囲や患者にも厳しいですね。

A原作の主人公は、けなげに一生懸命働く女医さんですが、キャストが決まった段階で、藤原紀香さんを生かすにはどうしたらいいか、と考えました。藤原さんは、元気な一生懸命な役は今までさんざんやってますから、また同じことをしてもつまらない。見たことない藤原紀香にしようと思いました。それであのキャラクターが出来上がったんです。 主人公の母親は、お産の時の弛緩出血で死んでいます。母体優先が定められているので、母体死亡は10万件のお産に対して7件というほど少なく、彼女は「私が母を殺して生まれてきた」というトラウマを持っています。 父親も10歳で亡くして、叔父の家に引き取られて医学部を出してもらうのですが、親に甘えた思い出がなく、反抗期も経験せず、人に心を許して理解し合うことを知らないキャラクターです。


Qドラマで、描きたいのは何ですか?

A「答えのない命」という人間が抱える永遠のテーマです。頑張れば報われるという単純構造のドラマが多いですが、今回私は、そういう話にはしたくなかったんです。人生はもっと解決がつかないものでしょう。このドラマは、生とか死とか、答えのでないもの、それに立ち向かっている医師たちの群像劇です。
 死に向かって生きているという矛盾に満ちた人間存在について、視聴者が漠然と考えていただければ素敵だな、と思っています。
 そこが一番描きたいことですが、産婦人科医がこんなに頑張っているのに、こんなに安い給料でいいんだろうかとか、なぜ産婦人科医がこんなに不足する事態になったのかとか、ほかにも社会的に提起したい問題点は、いくつも盛り込みました。
(2009年11月4日 読売新聞)

(2)産婦人科医療に思うこと
産科医のドラマを描く
大石静さん(脚本家)
 テレビドラマ「ギネ 産婦人科の女たち」(日本テレビ系、毎週水曜午後10時から)は、少子化の中、新しい命の誕生を支える産婦人科の医療の厳しい現状をリアルに伝える。脚本を書いた大石静さんに、ドラマへの思いを聞いた。(聞き手・稲沢裕子)

危機にさらされる産婦人科医療

Q今回のドラマは、原作を書いた岡井医師の昭和大が協力しています。

A昭和大の全面協力を得ています。病院には何度も行きましたし、書きながら何度も担当の先生と電話でお話ししました。取材して、実際目の当たりにすると、本当に産婦人科医は大変な仕事です。
 月の半分は当直、少ない人でも10日は病院に泊まっています。しかも、その当直が、昼間勤務して、当直して、翌日も外来の仕事をして、夕方やっと帰れる、という三十数時間勤務なんです。先生たちの奮闘には、土下座したい気分になりました。
 それに、勤務時間が長いというだけではなく、命に立ち向かっているんです。緊急帝王切開なんか1分1秒を争うわけですから、先生たちはもちろん、助産師、看護師たちもものすごい緊張の中で本当に頑張っています。命を助けたい、というのは人間の本能なんだと感じました。


Qその産婦人科が減っていて、ますます現場は厳しく過酷になっているのですね。

A医学生のうちは産婦人科に興味を持つ人が多いらしいんですが、研修医が終わって専門を選ぶ時、勤務時間も長く、お金もそれに比べれば安くて、訴訟の危険も大きいことで、みな断念してしまうそうです。研修医が終わって後の新人医局員の給料は15万円くらい。産婦人科は医師全体の8〜9%いなければ足りないのに、今は4%しかいないそうです。
 「情熱だけでは支えきれない」という台詞を何回も書いたんですけど、燃え尽き症候群のようになって辞めていく先生もいるそうです。長年のストレスがたまって、産科医は、57〜58歳で亡くなる先生も多いと聞きました。


Qそれで日本の少子化をなんとかしようと思っても……

A今、妊娠したとたんに出産する病院を予約しないと、お産難民になっちゃうくらいです。
 産科医をとにかく増やさなければいけない、と。岡井先生は、研修医とか医学生さんに会って、いかに産科医は素晴らしいかを涙を流して説くそうです。それで一人一人産科医として確保してくるそうです。そのくらいやっているんですよ、最前線の先生たちは。


Q日本の産科医療への危機感が今回のドラマを作らせたともいえそうですね。

Aその危機感が、岡井先生に小説を書かせたのでしょう。ただ、ドラマはドキュメンタリーやニュースと違いますがら、そういうテーマだけを前面に出しても意味はありません。ドラマの第一義は、人間を立体的に描いて、上質のエンターテインメントを創ることですから。


Qそれほど過酷な状況に置かれている今の産婦人科医たちを激務に耐えさせているものは何ですか?

Aそれは、「赤ちゃんの産声」だそうです。「新しい命の誕生は、どんな激務も乗り越える感動なんです」って。
 私自身は、子供を産んだこともないし、産みたいと思ったこともなかったのですが、分娩室の外にいて産声が聞こえると、ああ、よかったと思うようになりました。


Qこのドラマがきっかけで産科医療がよくなるといいですね。

A産婦人科崩壊の現状は、一つのドラマで一気に変わるほど甘くはありません。しかし、政権も代わったことですし、少しずついい方向に行ってくれるといいなと、心から願っています。(続きは6日更新)
(2009年11月5日 読売新聞)