この国は。というより、この県は。

いろんなところでこの記事は取り上げられてますが、mariboo's blog: 漫画のように上手くいけばいいのにねぇ。にトラバ。世間に初出となった記事はmariboo's blog: 人生の経験値ということで。ただでさえ少ない産婦人科医逮捕して一人減らしてどうすんだよ。この県で唯一の医大には、研修医様が沢山入局して、一人くらい切ってもOK♪なほど潤っているのかな。
多分、警察に、「コイツは悪い。こういう対策を取ったらうまくいっていたはず。」とか吹き込んだ「専門家」がいたんでしょうな*1。よい専門家による適切な解説はhttp://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/02/post_1b76.htmlこちらへ。2006-02-19 - ザウエリズム 【Zawerhythm】こちらも是非読んで頂きたい。
ちなみに、ACOG Committee Opinion*2を見ると、癒着胎盤については、「診断は超音波やMRIによるが、100%正診あるいは除外できる診断方法は現時点ではない。最終的な診断には摘出標本の病組織学的な検討を要する。」と書いてある。ま、医学的な解説をしても逮捕する気マンマンの人にはイミのないことで。民事で県からお金取るとか、医師会の保険からお金を取るとか言うんじゃなくて、刑事にしたことで、どれだけのイミがあるのか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060218-00000413-yom-soci

癒着胎盤での帝王切開は未経験…逮捕の産婦人科
 福島県大熊町の県立大野病院の産婦人科医師K容疑者(38)が業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反容疑で逮捕された事件で、K容疑者が数多くの出産に立ち会っていたものの、今回死亡した被害者のように、子宮と胎盤が癒着している状態での帝王切開手術の経験はなかったことがわかった。
 県病院局によると、K容疑者は、医師免許を取得して9年目の中堅医師で、2004年4月に同病院に赴任後、唯一の産婦人科医として年間200回の出産に立ち会っていた。
 しかし、「癒着胎盤」の状態で帝王切開が行われたのは03、04年度、産婦人科がある4つの県立病院で今回のケースが唯一で、K容疑者も経験がなかったという。
 県は昨年1月、専門医らで作る調査委員会を設置。同3月に、事故の要因を「癒着した胎盤の無理なはく離」「対応する医師の不足」「輸血対応の遅れ」などと結論づけ、遺族に謝罪していた。県は遺族と補償問題について交渉中という。
 会見した秋山時夫・県病院局長は、警察へ届け出なかったことについて、「当時、医療過誤という判断はなかった」と釈明した。(読売新聞) - 2月19日3時16分更新

「未経験だからダメ」なんですって。知ってたら手術しなかったと思うよ。予測出来ないのにね。っていうか、一人医長だから、誰かに相談したくても出来ないのにね。この逮捕を止められなかった専門医集団、学会、県、某医大などは、何をしていたんだ。
<2008年2月追記>当時の激しい感情のままに書きなぐったエントリで恥ずかしいですね。少なくとも、県立医大の教授は、医局員を守ろうと努力されていたようです。エントリの誤りを反省してここに追記します。

*1:例えば、MRIさえ撮っていれば、癒着胎盤は診断出来ていた、とか

*2:ACOG Committee Opinion. Number 266, January 2002: placenta accreta. Obstet Gynecol 99: 169-170, 2002.