医療と司法の戦い

先日行った学会で、司法がらみのモーニングセッションを聴いた。医師であり弁護士であり、現在は病院側の弁護士をやっている方の話で、大変面白かった。
その先生が言っていたことは、医療裁判は、医療と司法の戦いでも何でもなく、単にトンデモない鑑定を書く医師との戦いなのらしい。
医療者側として、絶対ということはないから、1万分の1のことでも説明しなきゃ負ける、みたいな認識でいる方が多いと思うが、その先生いわく、そんな確率の事象はそもそも予見不可能だし不可避なのものらしい。だから、それがいかにも高率に起こるように書かれた鑑定の方が問題らしい。
司法の方々としては、医師の表現として、「断定できない」「否定出来ない」がすごく多いと。「何で医師はあんなにまわりくどいのか」と思っているらしい。

その先生のネタで、日常生活でこんなことあったら大変でしょ、と例に挙げられた会話:
「あなた、浮気したでしょ?」「否定出来ない」
「あなた、私のこと愛しているの?」「断定出来ない」
だそうです。だから、かなり低い確率でもって否定・断定出来ない場合について鑑定を書く際には、かなり断定的に書いちゃってもいいんじゃないかな、ということらしい。まあそんな鑑定書いたら書いたで、今度は被害者側から文句が出て鑑定の信頼性に欠けるとか言われちゃうんでしょうけど。