後からいろいろ

昨日取り上げた奈良の事件。報道でしかわからないのがもどかしいが、表現にはいろいろあるよう。
救急関連のコメントでは、http://ssd.dyndns.info/Diary/archives/2006/10/post_100.htmlがわかりやすいです。なるほど。CT撮るのも確かに大変だよな。

内科医が脳に異状が起きた疑いを指摘し、CT(コンピューター断層撮影)の必要性を主張したが、産科医は受け入れなかったという。

の部分は、別の報道では、

当直内科医が脳の異常の可能性を指摘、CTを撮ることを主張したが、子癇の疑いを一番強く考えた担当産科医が動かすことで悪影響が出ることを懸念して撮影しなかった。

まあ結果的に判断ミスと言われればそれまでだが、産科医が異様にかたくなな人だったわけではないよう。撮ったところで、「子癇だと思ってたくせになんで動かしたんだ」と叩かれる可能性もあるわけで。後から言うのはラクだよな。事件は現場で起こってんだ。
別の記事で、

また、脳外科の専門家は、正しい情報が伝わっていれば受け入れる病院はあったと語ります。

そうかも知れないけど、こういうことを後から部外者が言うのは同業者としてヤメテ欲しいよな。脳外科は専門家かも知れないけど、「CTで脳内出血を認めます。妊婦です。」って電話したら、「ウチは産婦人科無いから」って断るかも知れないじゃん。こればっかりはその場でないと受けるか受けないかはわからんと思うな。
また、夫のコメントで、

意識を失っても大淀病院の主治医は『単なる失神でしょう』と言って仮眠をとっていた。命を助けようという行動は一切見えなかった。決して許せない

「仮眠」にポイントを絞った報道機関もいくつかあるようだ。分娩中に意識失うってスゴイ大変なことで、普通の神経じゃ夜中でも寝ずに患者のそばに張り付いて治療に当たるもんだ。ただ、メチャメチャ疲れ切った状況では話は別で、私も経験があるが、何か楽観的なことを考えて少しでも眠りたいと思うもんだ。だから、ホントに仮眠をとっていたのなら、トンデモナイ医師だという考え方もアリだが、冷静な判断が出来ないほど疲労しきっているかも知れない。こんな事件になってしまって、私のような軟弱な医師だったら、もう辞めちゃうな。「人が死んでしまうよな判断ミスを犯してしまうような過酷な勤務環境は、辞めよう」と思ってしまうからな。全国の総合病院産婦人科は、どこでもそんな勤務環境だけどね。だから、全国の総合病院産婦人科が潰れていく流れが、多分、加速する。
ま、何を言っても、非医療従事者からみたら、「ほらまた医者のかばい合い」としか見られない気がする。そして、静かに、から、音を立てて、医療システムが崩壊していく。