どん底だったらしい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061217-00000001-maia-ent
まあまあよくまとまってる記事でない? しっかり取材もしてるみたいだし。医療関係の記事もこれくらいしっかり書けない?
以下は記事。

特集:「のだめカンタービレ」 どん底からの“大逆転”
12月17日16時43分配信 毎日新聞 まんたんウェブ
 クラシックに打ち込む音大生たちの青春をコミカルに描いた「のだめカンタービレ」(二ノ宮知子)が、10月からフジテレビ系のトレンディードラマ枠“月 9”に登場、07年春からはアニメ化も予定されている。マンガを飛び出し、クラシックのCDまでヒットさせている「のだめ」。大ブレークまでの道のりを追った。【渡辺圭】

■実在した「野田恵
 「のだめカンタービレ」が連載されている「Kiss」(講談社)は、20〜30代女性向けの隔週刊マンガ誌で、テレビドラマ化もされた「きみはペット」(小川彌生)など「恋愛」をメーンテーマにした作品が中心だ。二ノ宮さんは99年から、同誌の増刊で、農家に嫁いできた東京の女性を描いたコメディー「GREEN」を連載していた。担当編集者の三河かおりさんは、「増刊ということでのんびりやっていたマンガ」だったといい、のんびりと仕事をするタイプの二ノ宮さんがマイペースで描いた「GREEN」は好評で、本誌からの連載のオファーが来た。
 三河さんは、本誌連載というチャンスを逃さないため、ストーリーを作り込んでいく漫画にしようと二宮さんに提案。あれこれ題材を考えるうちに二ノ宮さんから「だらしない女の子が主人公のクラシック音楽コメディー」というアイデアが出てきた。
 このアイデアは、二ノ宮さんが運営するホームページの掲示板に、女性ファンの一人が、「こんな面白い写真を撮りました」と、ゴミためのような自分の部屋でピアノを弾いている写真を掲載したのがきっかけだった。音大出身のピアノ教師というその女性は、その名も「野田恵」。こうして「のだめ」が誕生した。三河さんも「クラシックとダメ女のギャップは面白いかも」とOKを出し、01年7月に連載がスタートした。

■「ありえない」酷評ばかりのスタート
 新連載が始まったが、第1回目の読者アンケートの結果は散々だった。順位も最下位に近く、「汚い」「ありえない」などと辛らつな反応がほとんど。この結果について三河さんは、「『Kiss』はテレビで言えばトレンディードラマのような恋愛マンガを読ませる雑誌。当然といえば当然だった」と振り返る。
 ここから二ノ宮さんたちの逆襲が始まった。「どちらかというと放置していた」(三河さん)という「GREEN」とは違い、コミックス1巻分の6話でストーリーがまとまるように、無駄を省いた構成にした。二宮さんが描いたマンガの下書き「ネーム」を三河さんが徹底的にたたき、1話1話をまとめていった。
 その中で、4話からバイオリン科の学生、峰龍太郎が登場。連載当初、千秋とのだめだけで展開していた物語に、もう一人登場人物が加わることで、マンガの濃度が高くなっていった。三河さんは「峰に特別人気があるというのではないのですが、1巻で打ち切りの可能性もあっただけに、大きなターニングポイントになった」という。
 人気は多少上向き始めたものの、「Kiss」内ではまだまだだった。雑誌の華である巻頭カラーや表紙に起用されることはほとんど無く、トレンディードラマ的なマンガの中に埋没していた。

■書店のプッシュで人気上向く
 二人の悪戦苦闘が続く中、単行本3巻が出た02年夏ごろから様相が一変する。書店のマンガ担当者が「これは面白い」と思い、コーナーの前面に出したり。手描きポップを多用したりして作品を独自にPRし始めたのだ。書店同士で申し合わせをしてフェアを仕掛ける店もあった。「GREEN」のころから二宮さんに注目していたジュンク堂書店大阪本店の野田真人さんは「題材がクラシックということで、面白いコメディーになりそうだと1巻からプッシュしたのですが、なかなか売れず、書店同士で集まって、『どうやって売るか』を話し合いました」と振り返る。芳林堂書店所沢駅ビル店の関根俊英さんも「書店員の間に口コミで広まり、知る人ぞ知る作品でしたね」と密かな注目の高まりを感じていた。
 こうした書店のプッシュで、「のだめ」の表紙が注目されるようになった。コミックスの表紙は、必ずのだめがバイオリンやフルートなどの楽器を持っているイラストになっている。「今はやめていても、かつて音楽をやっていた人は意外と多い。そうした人が、表紙に描かれた楽器を見て、懐かしく思って本を手に取ってくれれば」という狙いが効を奏し、音楽ファンの注目も集めるようになったのだ。
 二ノ宮さんの音楽への姿勢もヒットの要因の一つと言える。それまでクラシックをほとんど聴いたことがなかった二ノ宮さんだが、実在の野田恵さんを知ったころから興味を持ち始め、音大にこっそりもぐりこんで取材をしたり、作曲家や楽器店、交響楽団の協力を得て、「本当のクラシック音楽をやっている人たち」を描いていった。「いざ興味を持つととことん取材するタイプ」(三河さん)という二ノ宮さんだけに、仕事中のBGMも当然クラシック。ブレークの後に発売されたのだめ関連のクラシックCDも全て二ノ宮さんがセレクトするほどになった。

■ついにブレーク ドラマ、アニメに
 じわじわと人気を集めていった「のだめ」は、低迷を続けていた読者アンケートでも、千秋とのだめが悪戦苦闘しながら臨む「コンクール編」でついに1位を獲得。「Kiss」を代表する人気作品になった。
 それから、テレビドラマ化やアニメ化のオファーが何件も舞い込むようになり、06年10月、フジテレビ系月曜日午後9時、いわゆる“月9”でドラマがスタートした。連載開始時に「汚い」とまで言われた「のだめ」が、まさにトレンディードラマの代名詞といえる放送枠でドラマになったのだ。
 07年1月には、同じフジテレビ系でアニメもスタートする。木曜深夜の「ノイタミナ」枠で、制作がJC・STAFF、カサヰケンジ監督と、ヒットした「ハチミツとクローバー」と同じ体制だ。
 「ハチクロ」に続いて「のだめ」をプロデュースする「ジェンコ」の大澤信博プロデューサーは、「ギャグとクラシックという原作の二大要素の魅力を追求する。楽器をアニメでキレイに表現するということにもチャレンジしたい」と意気込む。
 気になる本編はフィナーレに向かって突き進んでいる。千秋とのだめがパリに留学する「パリ編」に入ってからはギャグの要素が若干薄まり、シリアスな展開が増えたが、三河さんは「作品をきれいにたたむための準備の一つ。今、二ノ宮さんは本当にすごいマンガを描いていると思います」と話す。
 打ち切りの危機から大ヒット作へと昇り詰めた「のだめ」。マンガから、ドラマ、アニメへと広がる物語は、それぞれどんな結末を迎えるのだろうか。