助産院の超音波検査

<医療ルネサンス>[お産は今](5) 正常分娩 助産師が担当
写真解説の、

異常がなければ、超音波で胎児の様子を確認するなどの妊婦健診は助産師が行う(埼玉県深谷市深谷赤十字病院で)

は、病院の医師の指示の下だからギリギリOKと思うが、

3人目も自宅で、と考えていたが、助産院での超音波検査で「胎盤の位置が低め」と言われ、

これはどうなんだろうな。でも、看護師・助産師軍団に席巻された厚労省の見解は、「河北新報/お産SOS」の掲示板「No.97  「取材班」より」によれば、

助産師の超音波画像診断装置使用に関する厚生労働省看護課の見解は次の通りです。

助産師は医行為として正常産を扱える。
助産師が助産所助産の一環として超音波画像診断装置を扱うのは、保健師助産師看護師法の下、可能である。
助産に関する診断を行うのは助産師の役割。助産行為における判断を診断と呼ぶのは差しつかえない。

だそうですし。ただ、その「保健師助産師看護師法」の記述は、

第37条 保健師助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。

普通に読んで超音波検査ダメでしょう。「その他助産師の業務に当然に付随する行為」を強烈に拡大解釈すれば可能かと。ま、彼の人々にとっては、「当然に付随する行為」だと思ってるのかも知れないが。ジャイアン化っていうんですかね。「オレのものはオレのもの、お前のものもオレのもの」。でも責任は取らないからヨロシク! みたいな。タチ悪い。

一方、医師は異常がないかを確認するポイント健診や、分娩時の異常への対処など“危機管理役”に徹する。この方式を始めてから、助産師による異常の見落としなどの問題は起きていないという。

異常の見落としがまだ起きてないのは、たまたまでしょう。文章としては、「まだ」起きてない、というのが正直なところでは。この方式が、大丈夫そう、という印象を与えることには成功しているかも知れないが。見落とし時の責任問題は、どのように取り決めてるんでしょうか?
河北新報の記事と、今回の読売新聞の記事を読んでわかることは、社会全体で助産院の超音波検査を容認の方向へ持っていこうとしてるんだな。医師がいなくとも助産院せ超音波検査できれば、そりゃ妊婦さんも楽しいし助産師さんも病院・医院との差が一つでも埋められるから楽しいだろうな。本気でやるならやってもいいからキッチリ法改正するか資格を与えるかにして、法律をねじ曲げて解釈するのは止めた方がいいと思うのだが。
以下は記事。

<医療ルネサンス>[お産は今](5) 正常分娩 助産師が担当
 埼玉県の小泉恭子さん(35)は昨年10月、3人目の男の子を出産した。1人目は助産院で、2人目は助産師の介助で自宅出産。3人目も自宅で、と考えていたが、助産院での超音波検査で「胎盤の位置が低め」と言われ、深谷赤十字病院(同県深谷市)で出産することになった。
 胎盤は、子宮の内側の受精卵が着床した位置にできる。これが子宮口の近くの低い位置にあると、出産前後に大出血する危険がある。同病院産婦人科部長の山下恵一さんは「胎盤は低めだが、普通のお産は可能と思います。万一、大量に出血した時に、すぐに輸血ができるよう、点滴をつけた状態でお産をしてください」と話した。
 予定日を1週間過ぎたころ。10分おきの陣痛が来て、家族に車で連れて行ってもらった。病院の入り口には5人ほど助産師が待っていて、車いすで分娩(ぶんべん)室に。到着して20分、助産師の介助だけで無事出産した。
 出産後、分娩台の上で赤ちゃんに母乳をあげてゆっくり休み、そのまま一緒に病室へ。「自宅や助産院とは雰囲気は違うけれど、自然なお産ができました」とほほ笑む。
 同病院では、1991年から産婦人科医と助産師の役割を明確にし、正常なお産は助産師だけで行うことにした。最初の妊婦健診で異常がなければ、超音波や内診など外来での健診も助産師の担当だ。さらに母乳指導や1か月健診まで継続的に助産師が主体になって行うことで、妊産婦に細やかなケアを提供する。
 一方、医師は異常がないかを確認するポイント健診や、分娩時の異常への対処など“危機管理役”に徹する。この方式を始めてから、助産師による異常の見落としなどの問題は起きていないという。
 山下さんは以前、陣痛促進剤を使って日中に出産する計画分娩を試みたことがある。ところが「産ませられてしまった」などの声を聞き、自然なお産の重要性を再認識した。医師と助産師の業務分担は、助産師たちの強い希望があり、山下さんが決断したものだが、最近、産婦人科医不足の対策にも役立つことがわかった。
 同病院の常勤の産婦人科医は4人、助産師23人。多い医師で月7回の当直がある。年間700例以上のお産があり、その数は年々増えている。「正常分娩は助産師に任せれば、産婦人科医の負担軽減になる」と山下さん。だが、助産師も不足しているのが現実。産婦人科医が足りない中で、助産師の役割をどう位置づけ、養成していくのか、今後の課題だ。