考え方の違い

検査結果と実際に病気があるのかということを1対1でしか考えられない人が、特にマスコミを中心に多そうなんだが、例えばこんなニュース。
徳島の女性、新型インフル感染の疑い…4日に米から帰国(読売新聞) - Yahoo!ニュース 魚拓

 6日から38度台の発熱などの症状があり、インフルエンザの簡易検査では陰性だったが、医師が渡航歴や症状を総合的に判断して県に報告した。

「陰性なのになぜ疑い?」「また医師がたらい回ししてんじゃない?」と思う人もいるんだろうが、医療従事者の方には御理解頂けるのではないかと思う。検査も100%ではないので、出るべき人に出ないこともある。だから、「医師が渡航歴や症状を総合的に判断して県に報告」というのは正しい。で、PCR検査で出ればまず確定だろうし。一方でこういうのもある。
感染疑いの川崎市の女性 すべての型に「陰性」(産経新聞) - Yahoo!ニュース 魚拓

 米国とカナダを訪れた川崎市在住の50代の日本人女性が、新型インフルエンザへの感染が疑われていた問題で、厚生労働省は14日、川崎市衛生研究所と国立感染症研究所の両施設で遺伝子診断「PCR」を実施した結果、新型と季節性のAソ連型、A香港型、B型のいずれに対しても「陰性」を示したと発表した。

 簡易検査ではA型に陽性反応が出ており、矛盾する結果に、厚労省は新たに検査をし直すかどうか検討している。

感度と特異度でググれ、といったらそれまでなんだが、「矛盾する結果」であっても全然おかしくない。そこらへんはそういう勉強をした人としてない人の違いなのかなぁ。
似たような話で、妊娠初期の感染症検査で、HIVのスクリーニング陽性出て、その後の精密検査でやっぱり陰性、となって激怒される話があるんだが、これも感度と特異度の関係から仕方ないんだがな。まあ言い方の問題が大きいんでしょうけど。