研修医ニーナの731日

研修医ニーナの731日
内容
研修医が見た驚きの医療現場とは!?生と死の現場で起きたドラマの数々を瑞々しい感性で描く、女性研修医の奮闘成長記。

研修医の奮闘成長記というジャンルでは、ドラマ化もされたきらきら研修医という大御所もあるわけですが、両者の決定的な違いは、教わった他科の先生に対するレスペクトだと感じました。ニーナさんが実名かどうかは知りませんが、匿名で書いている織田うさこさんの方が、内容に配慮があったと思いますね。
詳細は書店で読んで頂ければいいかと思いますが、例えば、産婦人科の研修の項を読むと、産科の医師による帝王切開の手術がとにかく「乱暴」だという表現になっております。否定はしません。ただ、一つ一つ止血しながらの手術だと、胎児が死んでしまうので、スピードを重視するとああなる、ということをあまり強調してくれてないので、ただ「乱暴」な科だという印象で悲しいです。
また、これはマスコミの人の記事や他科の先生方の表現でもあるんですが、帝王切開の時に、胎児を子宮から「取り出す」という動詞を使っておられます。これはどうですかねぇ。私にはすごく違和感があるんですが、他の産科の先生方はどうでしょうか。「取り出す」っていうと何かモノみたいで。専門的には、児を「娩出する」といいますけど、妊婦さんにくだけた表現で言うときには何て言いますかねぇ。「子宮の下の方を切って、ここから赤ちゃんを取り出します」とは言わないなぁ。「子宮の下の方を切って、ここから赤ちゃんを出します」くらいな感じですかねぇ。あまり変わらんといえば変わらんか。あえて、産科医が何かするというよりは、「ここから赤ちゃんが出てきまして、その後、切ったところはまた元通りに縫います」みたいな表現の方が私は好きでしたが。まあ好みの問題かな。
一般ウケはすると思うけど、同業者が読んだらあんまり気分よくないかも。内容的には立ち読みで十分です。