ルールは守ろう

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070112-00000013-mai-soci
これは、珍しく識者のコメントが当を得ていると思う。区役所が柔軟に法律を解釈して運用するようなことがあれば、その方が問題だろう。「憤りをあらわにしている」女性には悪いが、ルールは守ろう。「区役所が区民の目線に立って対応しているか疑問だ」と話している人たちについては、批判するネタがあれば何でも批判したいのかも知れないけれど、この点については、区役所の方に分があるような。
まず、ルールを守った上で、いろいろ改善出来ることはしていったらいいわけで、その順番を変えてしまうと、秩序自体が崩れてしまうと思う。ただ、今の日本は、その「秩序」自体がもう無くなりつつあるわけなのだが。
ちなみに、記事タイトルの「無戸籍」になったのは、本人の事情の問題で、ルール通りに前夫の籍に入れれば「無戸籍」にはならないわけで、離婚300日以内に出産すると無戸籍になるようなタイトルのつけ方は、相変わらずミスリードされやすいように書いてるな、と感心する。
以下は記事。

<離婚300日以内>早産の男児も無戸籍に 9日不足(1月12日3時7分配信 毎日新聞
 東京都墨田区の女性(38)が11日、予定日より約2カ月早く出産した男児について、現在の夫を父親する出生届を区役所に出したところ「離婚から300日以内に誕生した子は前夫の子」とする民法772条の規定を理由に受理されなかった。予定日なら離婚後343日目だったが、切迫早産で292日目の出産だった。役所から法的な手続きを取るよう勧められた女性は「体の事情という明確な理由があるのだから、弾力的な対応をしてほしい」と憤りをあらわにしている。
 女性は01年7月に前夫と結婚したが、02年9月から別居し、昨年3月13日に離婚が成立した。直後に今の夫と出会い、9月21日に再婚した。妊娠が分かったのは昨年6月で、出産予定日は2月19日と診断された。母子ともに順調だったが、先月28日の検診で、羊水が減り、胎児の成長が止まっていることが判明。集中治療室のある病院に搬送された。
 帝王切開で離婚後292日目の同30日に出産。身長38.2センチ、体重1194グラムで、極低出生体重児の男の子だった。女性は再婚時、職場の上司から民法の規定について聞かされていたが、予定日通りの出産なら問題ないと考えていただけに、ショックだったという。
 出生届の提出期限が迫った11日、女性は本籍地のある豊島区役所を訪れ、母子手帳を手に出産予定日などを説明した。しかし、担当者は「前夫の戸籍に入れるしかない。現在の夫との間の子とするためには、前夫と相談して家裁で親子関係不存在の確認や嫡出否認の手続きを取ってもらう必要がある」と言うだけだった。
 毎日新聞の取材に、豊島区区民課は「300日以内に生まれた場合は、前夫の子と推定することが大前提。早産の例外を認めることはできない」としている。女性から相談を受けているNPO「親子法改正研究会」(大阪市代表理事井戸正枝さんは「区役所が区民の目線に立って対応しているか疑問だ」と話している。【工藤哲】
 ◇民法改正が必要に
 ▽家族法に詳しい榊原富士子弁護士の話 当事者は気の毒だが、区役所は法律に従うしかないだろう。法務省が通達を出すなどして、早産など明らかに前夫の子でない証明がある場合に「現夫の子」として扱えるようにするか、法的手続きなしで妻が父親を申告できるように民法を改正するしかない。