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国循の記事が強烈すぎて、もう一方の強烈な燃料を忘れてましたよ。
Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - 大和市立病院損賠訴訟:出産後に障害、市に1億4250万円命令−−地裁 /神奈川
Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 帝王切開賠償訴訟、市に1億4300万円支払い命令
Yahoo!ニュース - 時事通信 - 大和市に1億4000万円賠償命令=「帝王切開の準備怠る」−横浜地裁
別ソースによれば、
帝王切開賠償訴訟、市に1億4300万円支払い命令 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 三木裁判長は「心拍数が低下した時点で、病院は帝王切開の準備をする義務があったが、怠った。夜間、麻酔科医らが常駐しておらず、医師を呼び出すなど出産まで1時間以上かかった」と指摘した。

麻酔科医がいないと、分娩をしてはいけない、と。かなり強烈な爆弾。つまり、分娩をするためには、

  • 麻酔科医深夜も常駐
  • 心拍数が低下した時点よりN分以内の帝王切開ができること(Nは、任意の訴訟事例でかかった時間(分)より少ない任意の自然数

が必須、ということになりました。誰かがNを変数じゃなくて定数にするように定めなきゃいけないんだけど、定めると産科医療の崩壊が決定するので(もう決定してるか)、誰も決めない。何か起こった時に、「もっと早ければ起こらなかった」って非科学的に言うだけ。「遅きに失した」だってさ。臨床は現場で動いてるんだ。裁判所の中じゃないぞ。ちょっと前の前置胎盤の判決と全く同じ。救済目的なのかも知れないが、それで科学をねじ曲げていいということはないと思うが。科学が何ぞや、という話については、脳性麻痺と新生児脳症―最新の病因・病態でも読んで勉強してください。まあ、医療関係者以外はほとんど読まないとは思うけど。
以下は記事。

大和市立病院損賠訴訟:出産後に障害、市に1億4250万円命令−−地裁 /神奈川
3月1日14時0分配信 毎日新聞
 ◇担当医の過失認める
 大和市立病院(大和市深見西)で97年に仮死状態で生まれた男児(10)=東京都町田市=が手足のまひなど重い障害を負ったのは、同病院の担当医師が適切な時期に帝王切開しなかったためとして、男児と両親が大和市を相手取り損害賠償を求めていた訴訟で、横浜地裁は28日、同市に計約1億4250万円の支払いを命じる判決を言い渡した。三木勇次裁判長は「担当医は速やかに帝王切開の準備を始めなかった」と過失を認めた。
 判決によると、母親は97年2月24日午後9時ごろ、胎児の心拍数が一時的に低下する症状が表れ始め、同40分にも再発したため担当医師が帝王切開を決定。午後11時ごろ、帝王切開男児が生まれたが、手足のまひや発達遅滞の後遺症が出た。
 三木裁判長は「午後9時ごろには既に胎児の心拍数が一時的に低下する症状がみられ、帝王切開の準備を始めるべきだった」と指摘。さらに「帝王切開決定から実施まで約1時間16分要し、遅きに失した」と述べた。【伊藤直孝】
 ◇大宮院長が控訴の意向
 大和市立病院の大宮東生院長は記者会見して「障害を負っていることは誠に残念だが、可能な限り適切な処置を行った。過失は無く、脳性まひとの因果関係もない」と述べ、控訴する意向を示した。【長真一】3月1日朝刊

帝王切開賠償訴訟、市に1億4300万円支払い命令
3月1日0時49分配信 読売新聞
 神奈川県大和市立病院で1997年、帝王切開が遅れたため重い後遺症が残ったとして、東京都内の養護学校4年の男子児童(10)と両親が、市に介護費用や慰謝料など約1億9200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、横浜地裁であった。
 三木勇次裁判長は「(帝王切開は)遅きに失し、後遺症との因果関係が認められる」と述べ、市に約1億4300万円の支払いを命じた。
 判決によると、男児の母親(35)は97年2月24日、陣痛が起きて入院した。胎児に心拍数の低下などの異常があったことから、病院は帝王切開を決めたが、手術決定から出産まで約1時間20分かかり、男児は仮死状態で生まれて低酸素脳症となり、四肢がマヒする重度の障害が残った。

大和市に1億4000万円賠償命令=「帝王切開の準備怠る」−横浜地裁
2月28日22時30分配信 時事通信
 出産時に帝王切開が遅れ重度の脳障害を負ったとして、神奈川県大和市立病院(同市深見西)で生まれた東京都内の男児(10)と両親が同市を相手に約1億 9000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、横浜地裁であり、三木勇次裁判長は「医師が早期に帝王切開術を行っていれば、男児に後遺障害を発生させなかった高度の蓋然(がいぜん)性がある」として市に約1億4000万円の支払いを命じた。
 判決によると、男児の母親は1997年2月24日午後5時ごろ、同病院に入院。同10時55分ごろ帝王切開を実施し、同11時すぎに男児を仮死状態で出産した。男児低酸素脳症により両手足が不自由になったという。
 三木裁判長は「医師は早期に帝王切開に着手できるように準備する義務があるのに、怠った過失がある」と指摘した。