日常診療に影響しないひとたち

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Report:国病機構の「緊急医師派遣制度」中止の背景 機構だけで医師派遣は困難 派遣元病院の負担大きいなど課題浮上
まあ実態を表している記事でよいな。気になる点にいくつかコメント。

 国立病院機構では、昨年9月から診療報酬減算回避を目的に主に都市部の急性期病院29病院を医師派遣基幹病院として指定し、それらの病院から医師確保が困難な病院に対して緊急医師派遣を進めてきた。
  結果的に東北地域の旧療養所の八戸病院(138床)、釜石病院(180床)、米沢病院(220床)の3病院に対しておおむね1週間交代で29病院から延べ108人の医師が派遣された。
 しかし、派遣元病院では、派遣できる医師が限定され、日常診療に影響を来さない院長など幹部クラスの派遣が常態化したほか、派遣期間も短期になってしまうなど派遣元病院の負担が大きくなっていった。同機構は、この3月までの約半年間で緊急医師派遣制度の中止に踏み切らざるを得ないと判断した。

幹部クラスの派遣でいいんでない? それがしんどくなったから中止なの? 院長が出ていっても日常診療に影響を来さないっていうのは、院長って、診療をしない分、その他に大事な仕事がいっぱいあるんだと思ってたが、そういった大事な仕事が滞るから派遣中止、っていうコメントはなし?

医師が地方病院への派遣に対して拒否の意思表示が明確で、「業務命令ならば退職する」と病院幹部を悩ませたほか、医師派遣元である大学病院からも「地方への医師派遣を容認することはできない」とした医師引き揚げの動きへの対応などを挙げ、

おお、時代は動いているな。「業務命令ならば退職する」いいですね。これも、一般の国民からすれば、「国立病院というからには国民の税金で云々」という話になるのかも知れないですけど。そういう方たちのために、日本国憲法から引用。

日本国憲法
第十八条【奴隷的拘束及び苦役からの自由】
 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

職業選択の自由は、公共の福祉云々が出てきますが、奴隷的拘束は、公共の福祉関係ないですからね。「いやならやめろ」を実践する先生方、GJです。

一応記事引用。長いよ。

Report:国病機構の「緊急医師派遣制度」中止の背景 機構だけで医師派遣は困難 派遣元病院の負担大きいなど課題浮上

記事:Japan Medicine
提供:じほう

【2007年5月18日】

 国立病院機構の矢崎義雄理事長は15日に本紙取材に応じ、昨年10月から医師標欠病院に医師を派遣・支援する事業として展開してきた「緊急医師派遣制度」を3月末で中止したことを明らかにした。機構の146病院のうち医療法標準医師数を満たすことができない病院は、5月時点で約3分の1の49病院に上るなど、1法人で医師派遣システムを推進していくことの難しさが浮き彫りになった。

 矢崎理事長は、「現在、機構だけで医師派遣機能を担っていくことは困難だ」との見解を表明した。今後、医師派遣制度については、地域医療支援中央会議などで制度設計を議論し、都道府県とともに推進していくべきだとの考え方を示した。
  同機構では、昨年9月から診療報酬減算回避を目的に主に都市部の急性期病院29病院を医師派遣基幹病院として指定し、それらの病院から医師確保が困難な病院に対して緊急医師派遣を進めてきた。
  結果的に東北地域の旧療養所の八戸病院(138床)、釜石病院(180床)、米沢病院(220床)の3病院に対しておおむね1週間交代で29病院から延べ108人の医師が派遣された。
 しかし、派遣元病院では、派遣できる医師が限定され、日常診療に影響を来さない院長など幹部クラスの派遣が常態化したほか、派遣期間も短期になってしまうなど派遣元病院の負担が大きくなっていった。同機構は、この3月までの約半年間で緊急医師派遣制度の中止に踏み切らざるを得ないと判断した。
 医師派遣で直面した問題について同理事長は、医師が地方病院への派遣に対して拒否の意思表示が明確で、「業務命令ならば退職する」と病院幹部を悩ませたほか、医師派遣元である大学病院からも「地方への医師派遣を容認することはできない」とした医師引き揚げの動きへの対応などを挙げ、「マグネットホスピタルといっても基盤が脆弱で、大学からの医師派遣で支えられているのが現状だ」と指摘した。
 こうした機構の現状を踏まえ矢崎理事長は、病院における医師確保方策について、「医師は、職務内容から自由裁量権が大きく、派遣などの意図的な再配置が極めて困難であり、金銭的なインセンティブで行動は変容せず、制度的な設計が必要だ」と強調。これら基本的考え方のもとに、<1>救急、手術などの高度な急性期医療の診療報酬を別立てにして重点的に評価し、病院医師の勤務に対する求心力を高める<2>医療リスクに対する支援体制を整備する(無過失補償制度、裁判外事故処理制度など)<3>地方財政再建促進特別処置法を医師派遣に限って緩和するよう提言した。

地域医療支援中央会議が医師派遣のプラン策定すべき 国病機構・矢崎理事長に聞く
 本紙では、国病機構の矢崎理事長に病院医師派遣の現状と今後の方向について聞いてみた。以下は、そのポイントである。

  • 病院医師不足が社会問題化している中で、国病機構に派遣機構を設置することなどが、一部マスコミなどで取りざたされていますが、いかがでしょうか。

矢崎理事長 国病機構の現状が理解されていないようだ。国病機構の3分の2に当たる91病院は、重心、筋ジス、神経難病などの特殊疾患や地域医療を担っており、医師確保が困難を極めているのが現状だ。実際に5月1日現在、医療法標準医師数を満たせない病院が49病院に上っている。さらに、常勤医が5 人以上減少している病院も東日本を中心に23病院あるのです。
  さらに、国病機構は、他の法人に比較して医師が少ないのが現状です。一般病院の100床当たりの医師数が、国病機構の平均が10.1人に対し他法人は18.2人が現状です。国病機構病院でも、東日本地域で医師の引き揚げにあっているのが現状なのです。

  • 昨年9月にスタートした機構内の緊急医師派遣については、どうなのでしょうか。

矢崎理事長 それは、診療機能の応援ではなく、診療報酬減算回避のための方策で、派遣期間は短期間でということで進めました。実際に派遣元の病院では、医師派遣を行うことの負担が大きく、病院に戻ったとき現状復帰させるために時間と労力が必要でした。今年3月末で中止せざるを得なかったのです。

  • 具体的な要因はいかがでしょうか。

矢崎理事長 今の医師は、意に沿わない状況が発生すると、簡単に辞めると言われるため、病院管理者は、地方病院の派遣を要請することが、なかなか難しい状況だった。派遣元病院では、病院長自らが派遣要員として赴くという現状になっていきました。
 もう1点は、大学医局との関係です。大学の医師派遣機能は、旧療養所のような地域への派遣は落ちましたが、マグネットホスピタルへの医師派遣は継続して実施されています。機構内のマグネットホスピタルは、大学医局からの医師派遣で支えられているのです。そこで、地方への派遣を依頼した場合、大学医局からは派遣の意図が異なるとして医局への医師引き揚げが必至です。
  こうした点からも、マグネットホスピタルといっても脆弱で、大学からの医師派遣で支えられている病院なのです。

  • 減算病院の現状は、いかがですか。

矢崎理事長 減算病院は3病院です。北海道の八雲病院については、特例が認められ、減算を免れています。実際に減算というのは、医師確保の努力をしないで診療報酬を得ようとしている病院だが、現実は、医師がいなくての減算といえます。減算対象の3病院については、かけがえのない機能を担っていると考えています。

  • かなり厳しい状況ですね。

矢崎理事長 病院医師不足の背景には、医師の立ち去り現象の顕在化があります。1つは、医師の勤務環境の劣悪化です。具体的には、公的病院に機能や採算を度外視した過剰な期待が寄せられている一方で、救急や手術などの高度医療は診療報酬上、おおむね不採算部門で、病院経営は外来診療にも依存せざるを得ません。その結果、医師は入院診療に加えて、救急を含めた外来診療にも従事することとなり、大幅な勤務時間の延長を期待しています。しかも、処遇も勤務時間が自由裁量の診療所医師と比べて極めて低い。これでは、地方の病院から医師が立ち去っていきます。
 もう1点は、病院における医療の在り方の変化ですね。医療の高度化によって手術などに要する医師数が著しく増加しています。しかし、診療報酬はむしろ減額され、病院経営は一層悪化しています。人口予測の高齢化によって伴う入院医療ニーズの増加と、病院医師がさらに不足するとされているにもかかわらず、その対応が非現実的な在宅医療の推進であることが危惧されます。

  • 今後の医師派遣の方策は、どのように考えられますか。

矢崎理事長 1法人に依頼すべきではない。医師派遣は、簡単にできるものではない。国の地域医療支援中央会議が、医師派遣のプランを立てて、議論をしないといけないでしょう。機構は、人的財源がない。ただ、協力を惜しむものではない。皆が協力して医師派遣などについて議論することが急がれると思います。