症例報告

医学論文:急減 処分恐れ医師ら萎縮? - 毎日jp(毎日新聞) 魚拓
お前が言うな、という記事の代表。処分恐れるような恐怖社会にした責任の一端は誰にあるのか、と小一時間ry)
ただ、症例報告が減る理由はいろいろで、例えば最近は個人情報の取り扱いが微妙で、症例報告をしようにも様々な同意書が必要になったため、そこまで面倒ならもういいか、と思うようになってしまった可能性もある。あとは、忙しすぎて、学会発表とか論文を書く時間そのものが失われてたりとか。医療の進歩は、症例報告に始まるといっても過言では無いと思うので、理由は何にせよ、症例報告の減少は、医療の停滞であると言ってもいいと思う。多分、今後、学会で見る症例報告は、失敗報告じゃなくて、「こんなことやったらうまくいった」っていう発表ばっかりになるんじゃないかな。うまくいった話を聞いたってあまり役には立たない。失敗例を聞かないと。イタイ目に遭った話を沢山聞いて、それを自分の経験の一部に取り込むことで、自分が困難症例に当たったとき、「あ、そういえば誰かがこんなこと言ってたな」と思いだして、その難局を切り抜ける、そういう経験をしている医師は世の中に沢山いると思うのだが。もうここら辺の話は、医局の片隅で奥義のように伝承されるだけになるのかもな。「誰にも言うなよ。これは外に漏れるとヤバイんだ。実は昔、こういう経験をして・・・」そういう経験ほど共有した方が医療の進歩につながるんだが。■日本から症例報告がなくなる日 医療事故調査委員会(笑) 医学論文:急減 処分恐れ医師ら萎縮 | 勤務医 開業つれづれ日記のコメント欄にこういう書き込みがあって。

ステントもないインターベンション初期のころ、研究会でPTCAでトラブって、結局患者さんは亡くなられました、との発表を聞いたことがあります。苦渋の演者、「勇気ある発表をありがとうござました。」との司会者、次々と出る質問と議論、会場は熱気に包まれていました。
この失敗をフィードバックする発表により、この患者さんの死は、間違いなく多くの患者さんの命を救ったと思います。もう、そんな時代は来ないのでしょうね。
(503 2008-01-29 21:39:02)

これを一般の方々が読んだら、「とんでもないことだ」と怒るんだろうし、亡くなった患者さんの遺族は今なら訴えるだろうな。それはそれで訴訟でも何でもやってもらったらいいけど、もうそれで医療の進歩は止まるわけで。医療とは、極論すれば、人体実験の繰り返しなんだから。まあでも、自分だったら実験台にされるのはイヤだな、というキモチはやっぱりあるわけで、そこら辺が人間出来てないと難しい。
そんな私は、最近経験した変な症例を、どうやって英文論文にするか思案中。やっぱり一例報告じゃReview of literatureをつけないとキビシイなぁ。あ、ちなみに失敗例ではありません。